個人再生ができる法令上の条件
自分は個人再生できるのかどうかお悩みの方、ここでは個人再生の条件を見ていきましょう。
民事再生法(以下、単に「法」と言います。)21条では、個人再生について以下のように説明されています。
破産手続き開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるときや、事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないとき、裁判所に対し、再生手続き開始の申立てをすることができる
個人については、小規模個人再生及び給与所得者等再生に関する特則が定められています。
法221条によれば、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ、再生債権の総額(住宅資金貸付債権の額、別除権の行使によって弁済を受けることができると見込まれる再生債権の額及び再生手続開始前の罰金等の額を除く。)が五千万円を超えないものは、この節に規定する特則の適用を受ける再生手続を行うことを求めることができるとされています。
では、具体的に見ていきましょう。
自分は個人再生ができるの?できないの?
外国人
法3条によれば、外国人は、再生手続きに関し、日本人と同一の地位を有するとされ、日本国籍をもたない外国籍の方も個人再生できます。
住所がない
再生事件の管轄(申立てをする地方裁判所)と関連し、法第4条によれば、再生手続きの申立ては、日本国内に営業所、住所、居所又は財産を有するときに限りすることができるとされ、必ずしも住所を要せず、居所(実際に住んでいるところ)や財産の所在地(債権については、裁判上の請求をすることができる地)での申立てが可能ですので、住所がなくても個人再生できます。
失業中
法221条によれば、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあることとされておりますので、法律家に依頼する時点で無職であることは問題ありませんが、将来的になんらかの継続的な収入があること(年金等でも可)が必要です。
税金滞納
滞納があっても個人再生できます。法84条によれば、再生債権とは、再生債務者に対し再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(共益債権又は一般優先債権であるものを除く。)とされ、共益債権と一般優先債権は除外されます。税金(公租)は、一般優先債権であり再生手続き上影響を受けません。
しかし、滞納額を明らかにすること、分納誓約書を交わすことなどが要求されます。
年金・健康保険料の未納または滞納
これらの未納・滞納があっても個人再生できます。これら(公課)も一般優先債権であり再生手続き上影響を受けません。滞納額を明らかにすること、免除・減額申請や分納誓約書を交わすことなどが要求されます。
車がある
車があっても個人再生できますが、車を残せるかどうかは別問題です。一括購入やローンを完済した場合、車を残すことはできますが、車の価値は財産価値として計上しなければなりません。
普通車で初回登録から7年、軽自動車で5年経過したものは財産価値として計上しない取扱いをする裁判所もあります。ローン中のお車については、車検証の所有者が販売店もしくは信販会社の場合、基本的に車は引き揚げられます。
銀行等のマイカーローンの場合、車検証の所有者が本人であることから車の引き揚げはありません。軽自動車の場合、約款によりますがローン中であれば基本的に車は引き揚げられます。
同居の家族に内緒
家族に知られずに個人再生は可能です。しかし、裁判所によっては、同居の家族の給与明細等の資料の提出を求められることがあります。
自営業
法1条で、この法律は、経済的に窮地にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とするとされ、民事再生法は、当に事業の継続を図るために定められた法律であり、自営業者は当然に個人再生できます。
確定申告していない
確定申告していない場合も個人再生できます。しかし、直近2年間の収入を明らかにする必要から課税(所得)証明書の提出を求められます。
生活保護を受給している
保護費の範囲は、種類ごとに条文で記されておりますので、範囲外の使用は認められないと解されますので、収入が保護費のみの場合個人再生できません。
最後に
この記事では、個人再生が出来るのか出来ないのかを、様々な条件・状況ごとに解説しました。
当事務所では、自営業の方を含め多彩な事案の申立てをしておりますので、ご質問等ありましたらお気軽にご相談ください。
この記事の著者
司法書士法人ゆう法務事務所の司法書士。大阪司法書士会所属。登録番号「大阪第3737号」、認定番号「第912133号」
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