個人再生手続きとは
個人再生手続きとは、裁判所によって、すべての債務を対象に進められる債務整理手続きです。
裁判所のホームページでは、個人再生手続きについて以下のように紹介されています。
借金などの返済ができなくなった人が,全債権者に対する返済総額を少なくし,その少なくなった後の金額を原則3年間で分割して返済する再生計画を立て,債権者の意見を聞いたうえで裁判所が認めれば,その計画どおりの返済をすることによって,残りの債務(養育費・税金など一部の債務を除く)などが免除されるという手続
債務整理手続きの中でも、必要書類が多く、その提出期限も厳格に定められている手続きです。
この記事では、個人再生手続きに必要な費用や、その相場などについて解説します。
個人再生手続きの費用
個人再生手続きを申し立てるにあたり考えられる費用としては、大まかに裁判所への実費と専門家への報酬に分けられます。
裁判所への実費
裁判所への実費は、必ずかかる費用です。
官報公告料13,744円の他、収入印紙として10,000円、予納郵券として数千円が必要になります。
専門家への報酬
専門家への報酬の相場として、弁護士に依頼する場合40~80万円、司法書士に依頼する場合は30~50万円という数字が多くみられます。
弁護士報酬の方が高額の理由としては、弁護士は代理人として手続きを進められる一方、司法書士は書類作成代行者という立場にあることが考えられます。
もっとも、書類作成代行者といえども、個人再生手続きの申立は書面でのやり取りが主となりますので、実質的には特に支障なく手続き可能と思われます。
個人再生手続きの中で、住宅ローン条項を使用する場合は、使用しない場合に比べて、5~10万円ほど加算されることが多いようです。理由としては、作成する書類が増える点、住宅ローンを延滞しているような場合に、債権者との調整が必要となってくること等が考えられます。
専門家に依頼しなければ報酬を支払う必要はありませんが、依頼せず本人が申立をすると、個人再生委員が選任されることによって、個人再生委員へ支払う報酬が発生する可能性が高いので、裁判所の実費だけで済むものではないと思われます。
個人再生委員への報酬
個人再生委員とは、債務者の財産・収入の状況の調査および再生債権の評価に関し裁判所を補助し、または、再生債務者が適正な再生計画案を作成するために必要な勧告をするため,裁判所が指定する者のことをいいます。
この個人再生委員の報酬は15万円~25万円とされており、事案によって異なると思われます。
また、手続きを進めるために選任されるので、裁判所に予納金という形で納める必要があります。
個人で申立をした場合は選任される可能性が高く、個人再生委員には弁護士が指定されることがほとんどですが、司法書士が書類作成代行者の場合に選任される扱いの地域もあるようです。
費用の支払い方法
裁判所への費用は、申立時に納めます。
個人再生委員が選任された場合、その報酬の支払いは一括払いが望ましいですが、裁判所との話し合いで分割も可能です。申立人の経済状況と相談してケースバイケースとなることと思われます。
専門家に依頼した場合の報酬の支払い方法は、一括払いとする事務所もあれば、分割払いも可能な事務所もあります。
もっとも、分割払いとはいえ、個人再生手続きにおける弁済予定月額を下回るような金額では、履行可能性に疑義が生じてしまいます。
分割払いの基準としては、個人再生手続きが認められた場合の弁済予定月額が一つの基準になろうかと思われます。
まとめ
個人再生手続きにかかる費用としましては、裁判所へ納める実費として3万円程度は必ずかかるものとして、そのほかに再生委員が選任された場合の報酬、専門家に依頼した場合の報酬が挙げられます。
再生委員は選任された場合に拒むことができませんが、専門家に依頼する報酬については、事務所によって、金額も支払い方法も異なってきますので、一度ご相談をされることをお勧めいたします。
この記事の著者
司法書士法人ゆう法務事務所の司法書士。大阪司法書士会所属。登録番号「大阪第4102号」、認定番号「第912054号」
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